整理収納アドバイザーの資格を持ち、
長年小学校の養護教諭をしていた経験から
専門雑誌「健」に「保健室の整理収納」について連載中です。
6月号は、
Lesson 25「松葉づえの収納」です。
異動先の保健室にすでにある物は、「前任の養護教諭が残してくれた物だから全て必要な物である」と思いがちです。少なくとも新任の頃の私は、そう思って疑っていなかったので、「保健室の中の物を手放す」という発想はありませんでした。
ですから、在籍の間に確実に物を増やして後任に引き継いでしまったのです。
そして物が増える原因としてもう一つあります。保健室の中の物は、養護教諭が管理するとはいえ、税金(公立学校の場合)で購入していると思うと、なかなか手放す決断はしにくいです。
保健室に「何がどれぐらい必要な物?」と考える時は、所有の意味を考えたり、物の本質を考えたりすると判断がしやすくなります。
Step1 物の本質を知り、所有の意味を考える
まず、「そもそも保健室にそれがあった方がいいのか?」から考えてみましょう。
今回のご質問は松葉杖なので、「なぜ保健室に松葉杖があるのか?保健室に松葉杖があった方がいいのか?無くてもいいのか?」と考えるのです。
保健室で使う松葉杖は、「足をけがをした時に、歩行が困難になった場合の補助道具として使う物」なので、保健室にはあった方がいいですね。
Step2 使用頻度と適正量を考える
次に考えるのは、「どの程度保健室で使うのか?」つまり、「使用頻度」です。
使用頻度は、毎日使うものから一年に1回しか使わないものまで、さまざまでしたね。
では、松葉づえはどうでしょう?
保健室の松葉杖は、学校の管理下でけがをした場合に緊急時に使う物としてとらえると、使用頻度は少ないことが想像できます。
一年に1回もしくは、多くても2~3回ぐらいではないでしょうか。
それから、松葉杖の適正量を考えます。適正量とは、この場合、保健室に必要な松葉杖の数です。
保健室の松葉杖は、高さが調節できるタイプが置いてあると思います。
今回、高校生が使う想定を考えると、男女や個人の身長差を考慮して、在籍生徒が使う物としてMとLサイズの2サイズを置いておくと安心と思われます。そして、使用頻度を考えると、それぞれ1組ずつの合計2組でいいと思います。
今回のご質問では松葉杖が5組あるということなので、2組は保健室に保管するとして、残りの3組は手放すことができます。
Step3 収納場所と収納方法を考える
使いやすい保健室にするには、使用頻度を考えて物を配置することが非常に大切です。
松葉づえの場合は、使用頻度が低かったですね。
だから、あまり使わないものになるので、少々取りにくい場所や方法でも不便には感じません。
例えば、吊り下げの収納方法をご紹介します。
吊り下げ収納
スチール製の収納庫に、強力マグネットをフックをつけます。
そして、松葉づえをひもでまとめてフックにかけます。
この方法だと、部屋の隅の空間を利用でき、松葉づえが空中に浮くので、床の掃除もしやすくなります。
保健室にあるものは、「前任者が残してあり、税金で購入したので、全て必要な物」という思い込みを手放し、物の本質や所有の意味を考えて、見直していくことが大切です。